タイの北部の都市 チェンマイ
山岳民族が近郊に多く住むこの都市は、タイの中でも工芸が盛んな街として知られている。
ここに、一人の日本人女性が始めたとある施設がある。
タイでは深刻な問題となっているHIV。
両親をエイズで亡くし、自らも母子感染でHIVに感染した子供たちの生活を支える施設を日本人女性が運営している。
BAN ROM SAI (バン ロム サイ)
http://www.banromsai.jp/
その存在を知るきっかけになったのは、その施設で作られているタイやベトナムの美しい古布を使った商品との出会いだった。
子供たちの生活施設を維持する為に、寄付だけに頼らず、オリジナル商品の製作と施設の隣に併設されたゲストハウスを運営して資金をまかなっている。
いわゆるアジアの古い布と聞くと、"発色はきれいだが粗雑"、 "土着的" というのが拭いきれないイメージであった。
だが、古布を選ぶセンスや仕上がりがよく、今まで見たものとは違う何かがそこにあった。
ものを作る現場に長くいると、その背景がどれだけ大きく商品に反映されるか感覚的に分かる時がある。
どうしてもその感覚に触れたいという気持ちにかられ、ゲストハウスに滞在させて頂いた。
ゆっくりと流れる時間を楽しんでもらう事を目的としたその施設には必要最低限の電化製品のみがそろえられている。
そこに広がる景色は、どこか懐かしくもあり、人間本来の生き方そのものがギュッと詰まっているようなそんな場所であった。
"自然を感じ、共にシンプルに生きる事で見えてくる新しいモノや価値観を大切にする"
そんな気持ちを教えてもらえる素敵な時間を過ごす事ができた。
もの作りの現場も見学させて頂いたが、名前の由来でもある"大きな家族"そのもので、穏やかに、丁寧に行われていた。
ここ数年、世界中で色々な出来事や事件が起きており、その状況が人々の考え方を少しずつ少しずつ変化させていっているように思う。
近年のトレンドに多く見られた一旦立ち止まり本質を見直すデザインの傾向と同じで、私たち個人個人も人間本来の生き方を改めて見直す時期に来ているのかもしれない。

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