2011/08/05
ノスタルジック・デジタル (カラー編)
現在進行形で拡大し続けるデジタルワールド。
常に人々の未来を提示してくれる、その進化のスピードは凄まじく早く、
また、見えるようで見えない、漠然としながらも、なんだか「新しい」感覚をもたらせてくれる。
良くも悪くも「新しさ」を求められるデザインの世界でも、デジタルは常に最先端のモチーフであり、
様々な形で引用されてきた。
それは、単に「デジタル的」な表現であるものや、素材や加工が「デジタル」で生み出されているものもある。
今年のサローネでも散見されたのが、デジタルライクな色。
非常に発色の強い、蛍光色のような色は、自然界の中で見つける事が出来ない。
ある意味その「違和感」を生活に取り入れる事が新しさを感じさせる要素になっている。


ギシギシとした乾いた触感は、人を受け入れない、人に近づこうとしない、まさにデジタルな感覚だ。

また、整然としたグリッド空間に、冷たいブルーの光が走るトロンの表現も、今年デザイン界にインパクトを与えた世界観と言える。

長らく続いた(そして今も主流の)「癒し」「エコ」「リラックス」「スロー」などの価値観に、
「緊張感」「人工物」「スピード」などデジタル的な対極の要素を加える動きが見て取れる。
と、安易に対極と表現したが、実はこうした「デジタル」は、今のクリエイターにとっては「懐かしい」表現なのではないか・・・とも思う。
考えてみれば、「蛍光カラー」は30年ぐらい前、子供たちの間で流行っていたものだ。
蛍光ペンや蛍光絵の具をこぞって買って、今までに見た事の無い発色にときめいた記憶がある。
また、世界初のCG映画としてオリジナルのトロンが公開されたもの30年前だし、
子供たちがデジタル時計に憧れたもの同時期だ。
見たことが無いデジタル的な世界、それが素直に「新しい」「欲しい」に繋がっていた、ストレートな時代だった。
子供の頃からデジタルに慣れ親しんだ世代の人々は、今デジタルワールドを見て、心の何処かにしまってあった「憧れ」への郷愁を感じているのではないだろうか。
そして、その世代のデザイナーが、今、クリエイションの最前線を担っている。
デジタルは新しいモノとして扱われるのではなく、ノスタルジックなモノとして(も)扱われ始めた。
自然要素に代わり、いつかデジタルが心の癒しになる時代が来るのかもしれない。


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